【松尾直伝!仕組み化のススメ15】仕組み化に必要なマニュアル作り①
いつもマネジメントデザインのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
代表の松尾淳一です。
「仕組み作り」についてお伝えしていく「仕組み化のススメ」シリーズ、第15弾です。
これまで、「仕組み作り」について
「仕組み化」のポイントやステップ(取り組み方)、
「仕組み化すべき要素」などについてお話してきました。
今回は、
以前お話した「仕組み作りステップ2」の「誰でもできる化」の中で取り上げた、
ルールやマニュアルについて、もう少し詳しくお伝えしようと思います。
ブログでもすでに解説していますが、
「仕組み作りステップ2」である「誰でもできる化」とは、
・「できる人」がやっている方法を『業務のポイント』として会社全体で取り入れる
・「できる人」がやっている方法を標準化する
・「真にやらなければいけない業務」をあぶり出し、その対策を考えて実行する
ことです。
※過去記事はこちら↓
【松尾直伝!仕組み化のススメ⑤】仕組み作りステップ2「誰でもできる化」
【松尾直伝!仕組み化のススメ⑥】ステップ2「誰でもできる化」のポイント
【松尾直伝!仕組み化のススメ⑦】「誰でもできる化」のポイントとは②
【松尾直伝!仕組み化のススメ⑧】「誰でもできる化」のポイントとは③
【松尾直伝!仕組み化のススメ⑨】「誰でもできる化」のポイントとは④
【松尾直伝!仕組み化のススメ10】「誰でもできる化」のポイントとは⑤
「業務のポイント」を会社全体で取り入れたり、
「できる人」がやっている方法を標準化するためには、
その企業の中でルールやマニュアルが必要になってきます。
「ルール作り」や「マニュアル作り」は仕組み化の中でとても重要な作業になりますが、
やみくもに「すべき事」だけを羅列しても意味はありません。
全ての仕事をマニュアルにしてはいけない!
「マニュアルを作る」と聞くと、
全てのルールや方法を記載したくなるかもしれません。
しかし、「どこから作っていくのか」をまず考える必要があります。
ポイントだけをスタッフ同士で共有できるように、
成果につながる部分を優先していきましょう。
「誰のどんな行動を増やしたいのか」
「できる人とできない人の、どの部分のギャップを埋めたいのか」
これらをふまえて、
「できる人」のポイントを広めていくのがマニュアルの役割です。
全ての仕事内容をマニュアルにする必要はないのです。
そして、「誰でもできる化」で何度もお話ししていますが、
マニュアルを作るにあたって、
「できる人に着目する」ということが重要になります。
「できる人」がやっていることを、他の人もできるようになれば、
業務はスムーズにまわり、生産性も上がります。
しかし、
マニュアル作りで失敗しがちなのは、
経営者や社長、院長などが
「思っていること」をやらせようとすることです。
「昔こうだったから、こうしろ」
「ここを徹底しろ」
こうした感覚や経験、価値観などをマニュアルにしがちです。
もちろん、こうした指導が良い結果を生む場合もありますが、
時代とともに経営者の考え方が古くなっていたり、
現代の顧客には合わない場合もあります。
経営者や社長本人だったらできることでも、
他のスタッフではできないこともあります。
経営者の思いを伝えていくのは大事ですが、
今現場で活躍している人、できる人が「どんなことをしているか」に着目して、
それを他のスタッフに伝えていくことの方が大切です。
社長の思いや価値観ではなく、
「できる人」と「できない人」の「違いを生み出している行動」を
抽出していきましょう。
できる人だけで作ってはいけない
先ほどから何度も「できる人に着目」「できる人を参考に」と話していますが、
実は、マニュアルは「できる人」だけで作ってはいけません。
「できる事」って、人に対してなかなか説明が難しい場合があります。
「できる人」だからといって、自分のやり方を正確に伝えられるわけではありません。
「できる人」にとってその行動は、自分の習慣になっています。
「できる人」にとってその行動は、いつでもできるのです。
私は仕事柄、企業の営業担当の方とお話をする機会があります。
「営業ができる人」に
「営業のポイントって何ですか?」と聞くと、
たいてい
「お客さまに対して真摯に向き合うことです」
「お客さまの立場になって考えることです」
「お客さまに誠実に対応することです」
というような答えが返ってきます。
しかし、こういった「思い」をマニュアルにするのは非常に難しい。
心持ちや気持ちはもちろん大事です。
精神面では参考になるでしょう。
しかし、気持ちだけではポイントは掴めません。
「できる人」に対して、「実際にどんなことをしたのか」と聞いても、
実はなかなか説明できない人が多いのです。
これは、彼らの行動が「習慣」になっているからです。
当人にとっては「当たり前」のことで、習慣化しているため、
自分では気づきにくいのです。
感覚や習慣でやっていることを説明するのは、難しいのです。
例えば、
あなたの職場に制服があったとします。
あなたは当たり前のように制服を着ることができますよね。
いちいち、「ボタンをこう留める」、「ズボンは右足からはく」などと
意識していないと思います。
「どんな風にボタンを留めますか?」と聞かれても、
「そんなこといちいち考えていないよ」と答えますよね。
でも、もしあなたが制服を着る様子を
一定期間定点カメラで観測したとしたら、
必ず「あなたのパターン」が見えてくるのです。
ボタンを留める順番、靴をはく順番、
すべてに一連の流れがあるのですが、自分では気づきません。
他の人には他の人の制服の着方のパターンやルールがあります。
「ボタンを留める順序は?」
「靴はどちらからはきますか?」
「制服の着方を説明してください」
とてもシンプルなこの質問、
意外と答えられないのではないでしょうか?
私たちは、何らかの法則でその行動のルールやパターンを繰り返し、
無意識のうちに習慣や感覚になっているのです。
「習慣や感覚やっていることを説明してくれ」と言われても、
それを言葉にするのはなかなかできないのです。
仕事も同じです。
「できる人」だけでルールやマニュアルを作ると、
感覚的なものに偏ってしまいます。
「できない人」も同席して、一緒に作っていくことが必要です。
「できる人」と「できない人」が共に話し合って、
「その差」を埋めるような具体的な方法を吸い上げるのです。
次回は、実際の企業が取り入れているマニュアル例も紹介しながら
「マニュアル作り」についてさらにお話しします。