可能性を引き出すための見直し
人の可能性を引き出す際、2つの視点が重要です。
それは、「人のマネジメント」と「仕事のマネジメント」 共通点はありますが、まずは分けて考えてみましょう。
よくない例の1つ紹介しますと、 社員の福利厚生など、ケアばかりしている会社です。
残業ほぼなし、早めに帰社できる社風、 アロマをたいて心地よい環境も演出、 給料も常に優遇、よっていい会社、と社長は誇ります。
たしかに従業員の満足度は高いのですが…。
しかし、決算書を見せてもらったら、悲惨な状況でした。
もちろん働きやすい環境づくりは大事ですが、 アロマをたいて優雅に、という状況ではないはず。
社長曰く「そのうち社員が何とかしてくれるから大丈夫」。
残念ですが、期待だけをしても社員は何もしようと思いません。
他方で、仕事の成果を上げるマネジメントも重要です。
どうやれば仕事の効率が上がっていくのか、 その仕事のポイントはどこなのか、を分析し、
生産性を上げるために時間と労力を費やしていかねばなりません。
ポイントをおさえて仕事をし、人も活躍できている、 その両輪のバランスが大事になってきます。
この2つが今まで、感覚的になっていないでしょうか?
例えば、部下が仕事のポイントを上司に聞いた際、 上司から「仕事のポイント?お客さんに聞いてこい」と いうケースも、
笑い話のようですが実際にありました。
ただ、上司が怒っているから、しぶしぶと出かけていく…。
お客さんが教えてくれますか? もちろん、教えてくれませんよね。
要するに、どういうタイミングで訪問するか、 メールをするか、どうすればお客さんから返答があるのか、
どういうことをすれば満足してくれるのか、 その一連のポイントをまとめて、部下に伝えていくことです。
成果のでるポイントを共有するものが社内にありますか。
社長しか知らない、などの俗人的になっていませんか。
さらに、よくある例としては、 社長から「何か問題があったら俺に聞きに来い」と 部下に言うものの、
実際に社長へ聞きに行ったら、 「バカ野郎、自分で考えろ!」と怒られた、という場合。
間違っているのは明らかです。
暗黙知で、誰にでも業務を実行できる状態になっていません。
会社の経営は、現状は何とか存続しているかもしれません。
それで経営と言えるのか、安定・継続した業績を上げられるのか。
3~5年後を見据えた時に、例えるなら、ぐちゃぐちゃの机の 引き出しを見せられた状態の会社で、部下は育つわけがないのです。
客観的に見て、明らかに変な状況になっていませんか?
2つのマネジメントに加え、その足元となる 身の回りの業務の伝達をいま一度、見直してください。