上司から任されたプロジェクトで進捗報告が難しい時の対処法
このブログは、「松尾淳一の組織運営ラボラトリー」で発言した内容を、
ほぼ忠実に再現しております。
─文字で読むと意味が分かりにくいよ!
─文章間違ってるよ!
といったご指摘もあるでしょうが、ライブ感を大事にしています。
どうぞご容赦ください。詳しくは、ページ下部よりPodcastをお聞きくださいませ。
目次
松尾淳一の組織運営ラボラトリー
第29話「任されたから進捗報告しなくていい訳ではない」
2023年11月公開
今回のお悩み
28歳会社員です。
上司から任せると言ってくれたプロジェクトがあり、色々とアドバイスをいただくのですが、結局上司から言われたアドバイス通りに進めないと上司は不機嫌になります。
私に任せると言っていただけたことが嬉しくて頑張ろうと思っていましたが、今はそんなに言うなら 自分がやってくださいよと思うほどに意気消沈です。どう上司と向き合ったらいいでしょうか。
鈴木健一
─意気消沈しちゃいましたね。
松尾淳一
そうですよね。
鈴木健一
─うるせえよって、うるせえよとは言わないでしょうけど、あんまり言ってこないでよ、ってなりますよね。
松尾淳一
でも、そういうところがあるから、口出すんでしょうね、上司もね。
鈴木健一
─このニュアンスとしては、この28歳会社員の方が、あまりにも、ちょっと見てられないので、 上司からアドバイスをいただいてるって感じなんだと思うんです。一方で全然順調に進んでいるのに、もうとやかく言うな、任せてくれっていう、すごい責任感を持ちの方なのかもしれないなと。
松尾淳一
どっちなんでしょうね。
ただ例えば、上司が任せるというプロジェクトがあったとして、 上司が任せるっていうのは、2種類ぐらいあると思ってます。1つは、君だったらできるよねということをやらせる。
もう経験もあるよなと。例えば、僕からも色々学んだよね。だから、もうある程度の概要も分かってるよね。詰め方もなんとなくイメージつくと思うから、1人で運転してごらんよと。
今まで助手席に乗って色々見てたし、 運転もさせて、俺も助手席乗ることやってきたけど、もういいよね、任せてあげるから1人でやってごらん、運転してごらん、ということが1つ。
もう1つは、そこに任せたいんだけども、まだ任せていいのかわからない。まだ粗があると思っているからテストとして任せてみたい。
今あなたは、まだ自分の立場や役割の中で上の視座で仕事してないよ。言われたことしかやってない状態じゃない?だから、 上の視座を身につけてもらうためにも「テスト」として任せる。うまく乗り越えて成長してこいよ。っていう意味で任せることもありますよね。
この場合、どっちなんだろうなと思うんです。ただ、この文脈から読むと後者なんですよね。言われたアドバイスに進めないと上司が不機嫌になるっていうのは。
それは不機嫌になる上司側には問題があるんでしょうけど、要は上司とのプロジェクトの進め方とかに対する擦り合わせであるとか、コミュニケーションが足りてないですよね。
基本的に、上司から任されたプロジェクトっていうと、最初にやらなきゃいけないのは、期待値の把握をやらないといけなくて。
プロジェクトを任された時に、「どういうような事を目標として」「どういうような成果を数値として生み出して」「コストはどのくらいで」「どれくらいの期間でやっていく」っていうことですよね。その辺りがしっかりと上司と最初のうちにコミットしないといけない。それは部下側から 任せたプロジェクトはこういうような形で進めていきたい、ゴールイメージはこれですというゴールをちゃんと部下側から聞いていくっていうことをしていかなきゃいけない。
鈴木健一
─そうですね。意外とそういう部分できちんと擦り合わせてから行っていくのって、意外と忘れがちだったりしますよね。
松尾淳一
先ほど任せるっていうのは2種類あるよ、って話をしましたが、特に後者の場合だったら、「これはテストだから、まず自分で考えてごらん。俺も考えてはあるけど、 まず自分で描いてごらん。」って話があります。
それも含めて、上司の方のコミュニケーションも足りてないと僕は思います。
任せるから、自分のやるようにまずやってごらんよ。
その上司の言葉は、本来は部下としては、そういう解釈をして好きなようにやっていいということではなくて。
ちゃんと自分が最初に、期待値のチューニングをしなきゃいけないということをちゃんとわかってないと、進み出してから止められますよね。
任せてるんだけど、どこ行こうとしてる?今東京にいるとしたら、東北の方に行こうとしてるのか、それとも横浜の方?どうも東北の方向いてるけど、本来は横浜の方だぞ。何しに行こうとしてんの。ということですよね。
鈴木健一
─ということですね。確かに。
この28歳会社員の方、進捗の報告とかが少し遅めなのかもしれないですね。
松尾淳一
そうだと思うんですよ。
自分が主導で進めていく。先ほどの後者の人でも、自分の課せられてる期待値を把握して、それに基づいて計画を立てて、PDCAがちゃんと回せてるっていう状態であるならば、上司からアドバイスってのは、もう少し違う角度だと思うんですよね。
鈴木健一
─任せると言って勝手に進めていいではないですからね。
松尾淳一
今の力で出来るから任せるよっていうこともあるでしょうし、「このプロジェクトを通して、あなた自身が成長してほしい」っていう期待を込めてる場合、上司が期待してるものは何かということを把握して、確認をしていくっていうことがとても大事なことだと思います。
もう1つは、やはりそのプロジェクト任せられるということは、社内だろうと社外だろうと、おそらくご自身の職責。ただ少し背伸びをしたことをやっていこう、っていう話でもあると思うんです。
任せるってのはそういうことじゃないですか。
上司の方がどの視座でその仕事を部下に任せようとしてるのか、現場目線なのか、プロジェクトリーダーなのか、より高めの経営的な目線なのかっていう、視座の調整もしていかなきゃいけない。
この方の質問っていうのが少し不満みたいなところがあって、進め方に文句があるということだったりすると思うんですけど、プロジェクトでもそういうことは当然あって、どの視座で上司の方がアドバイスしてるのか。このままだとうまくいかないぞっていうことは、おそらくプロジェクトリーダーとか、その経営的な目線でおっしゃってるのアドバイスだと思うんですね。 プロジェクトをうまくいかせるためのこと。
もしかすると、その人は現場で作業を進めるベースの視座で話をしていて、上の視座から言われた時に、なんでそんな角度から言ってくるのか。私は私なりにちゃんと進めているつもりなんですけど…という話がある。
それは視座の調整ができていない。
鈴木健一
─そういうことですね。
一方で上司側の話でいくと、 ここは上司はどういう風にこう進めていくといいんでしょうか。
アドバイスとして伝えてることが、 28歳会社員の方にうまく伝わってないから不満になっている気がします。
松尾淳一
任せるということの言葉っていうのは、すごく守備範囲が広い。
その任せるってのは、君の実績で言うとその仕事はできるからやってみて、っていう任せ方もあれば、これが君の成長機会となるから1度任せてみたいと俺は思ってる。責任は俺がとるよというようなことですよね。どちらの「任せる」なのかということを上司側も考えたうえで、任せる=委任することを 決めていかなきゃいけないですね。
『できる力があるからを任せていく』と、『このプロジェクトとして、君に成長の期待をしてるから任せる』っていうことをしながら、君の成長を俺がサポートしていく。だから時々口は出すよ。というのは全く違いますよね。報連相もフルで任せるのとは違って、君のために密にやってほしいんだよね、ということをちゃんと事前に伝えているかどうか。
鈴木健一
─そういうことですね。
松尾淳一
どちらにせよ、それことが任せられてるっていう時点で、厳しいことを言うと、今回の質問者の方が、その辺りの期待値の調整をきちんと自分側からできてればいいわけで。
僕がこの上司だったら、まだこの人には任せるの早かったな、チャンスだったのにって。アドバイスすると、「わかりました。すぐ修正してみます。」って言うけど、そのレスポンスが 遅いとなると、あ、任せるの早かったよねっていう。この機会は、一旦、他の部下に与えてみようかということになりますね。
鈴木健一
─確かにそうですね。
プロジェクトを進めることってみんなで動いてるものなので、勝手に進めるのではなく、このプロジェクトを与えてる上司の気持ちも考え、どういう風にちゃんと報告していくか。これは結構大事なことですね。
松尾淳一
以前の回でも言ったと思うんですが、「上司の期待値を把握してそれを超えていく」ってことをすれば、仕事って全てうまくいくんですよ。この期待値の把握・調整っていうのを、しないまま仕事をする人は多いんです。
どういうゴールを私に期待してるのか。っていうことをきちっと把握した方がいいんじゃないですか。
鈴木健一
─そうですね。以前の回はどこの回だったかな。皆さん、これを機に全部聞いていただけたらなと思います。お時間もちょっといいところになりましたので本日はこの辺にて。松尾先生、ありがとうございました。
今回の主なポイント
- 上司から任されたプロジェクトが進まないと上司が不機嫌になる状況について
- 上司からのアドバイスに従って進められないストレスと対処法
- 上司とのコミュニケーション不足による課題
- 上司が任せるときの2つのケース:経験者にできると期待する場合と、成長のためにテストとして任せる場合
- 部下がプロジェクトを進める際に期待値の把握と調整が重要
- 上司が任せたプロジェクトに対する期待値や経営的な視点の確認が必要
- 上司と部下のコミュニケーションが重要で、期待値のチューニングが必要
- プロジェクト進捗報告が遅れる場合、上司との調整や期待値の共有が大切
Podcastで実際にお聞きになれます。