経営者の孤独とお金
このブログは、「松尾淳一の組織運営ラボラトリー」で発言した内容を、
ほぼ忠実に再現しております。
─文字で読むと意味が分かりにくいよ!
─文章間違ってるよ!
といったご指摘もあるでしょうが、ライブ感を大事にしています。
どうぞご容赦ください。詳しくは、ページ下部よりPodcastをお聞きくださいませ。
松尾淳一の組織運営ラボラトリー
第27話「社長の悩み|人に相談できない」
2023年11月公開
今回のお悩み
小さな会社の社長です。正直、もう会社をたたみたいです。
毎日お金がなくなることに怯えながら、誰に褒められることもなく戦っていくことに疲れてしまっている自分がいます。しかし、現実は従業員がいるので、そう簡単に辞めるわけにはいきません。こんな気持ちとどう向き合っていくのがいいのでしょうか。
鈴木健一
─リーダーは孤独と言いますが、この辺り自分がちょっとマイナスな気持ちになった時は、いつ、どうやって向き合ってらっしゃるのか、僕もちょっと気になります。
松尾淳一
なるほどですね。中小企業の社長は何回か思ったことあるんじゃないですかね。
鈴木健一
─社長の方々ってそうですよね。まぁ自分が始めた物語なんだから、 そう簡単にやめるなよという風に言われそうですけれども…
松尾淳一
鈴木さんはこの方の質問見てどう思いますか。続けたいと思ってるのか。
鈴木健一
─続けたい方だと思ってます。どう向き合っていくのがいいかという質問だったのでそうですよね。会社の畳み方を聞いてたら話は変わりますが
松尾淳一
そうですよね。会社の畳み方を聞くんだったら、こんなとこに聞かなくていいですもんね。違う職業の方に聞けばいい。
鈴木健一
─はい。
松尾淳一
おそらくこの方は、会社は続けたいということがあるんだけれども、そこのモチベーションであるとか、振るい立つものが確認できなくなってるところがある。っていうことなんだと思うんですよね。
先ほど鈴木さんがおっしゃったように、経営者は孤独なんですよ。バランスシートとか、月次のPLなんかを見てるんだけども、あまりその辺りでストレスを感じるってことはなくて、 どちらかというとキャッシュフローベースで、お金の出入りが見えてしまう。その辺りでストレスを感じられる方がとても多くて。
基本的にビジネスって、お金が後から入ってくる場合が多いので月末はどちらかと支払いが多く、本当にカツカツで、っていう部分があると。社内を見てると、社員さんにそういう心配をかけるわけにはいかないんで、 気丈に振る舞うんだけれど、どうしても月末になると給料も含めて支払いがあったりすると、 このストレスはどこに向ければいいんだってなる。社員さんの言い分としては売り上げ上がってるんでお金は入るじゃないですかって思うんでしょうけど違うんですよ。
鈴木さん、個人の通帳がマイナスになったりとかはしたことあります?想像してみてもらったらわかると思うんですけど。
鈴木健一
─ピリピリしますね。やりたいこともやれなくなります。
松尾淳一
そうだと思うんですよ。ご結婚されてるんだったら、奥様がなんとおっしゃるのか。それが会社っていうと社長が全部それをやってるということになるので、やっぱりキャッシュフローベースで、お金がどうやって動いていくのか、いつ出て行って、いつ入ってくるのか。これを経営者だけが見てるっていう会社が多いので、そこに対するストレスはやっぱり大きいんだろうなと思いますね。
だからある程度、そのキャッシュフローベースでのお金の出入りであるとか、売り上げの計画とかっていうのを、社員さんにもちゃんと理解してもらう方が1人でもいるっていうことは大事なことだと思うんですよね。売り上げ目標立てるとか、 戦略的にいろいろマーケティング活動をやっていくってこともそうなんですけど、いつお金を払う、そしてリターンはいつあるのか。
社員さんは頑張ってるんだけれど、社長は言うじゃないですか。 お金を払うのはいいけど、いつお金戻ってくるのか。いつ売り上げが立つの?利益どれくらいなの?って。でも、社員さんからすると、それはわからないから。社長のその話って、キャッシュフローベースの話をしてるので、社長さんもちゃんと伝えていかなきゃいけないんですよね。会社の中で、キャッシュフローの勉強会やるとかもしていかなきゃいけないんではないかなと思いますけどね、
鈴木健一
─結構、社長さんたちは、お金回りとか言ったら通帳の動きとかって、信用はしてても見せづらいものなのかなって、自分個人的に思ってるんですけど…。 信じて見せてくださいって、社員さんとか、役員の方々が言っても、ちょっと見せづらい部分もあったりするのかなって。
松尾淳一
その見せてくださいっていうのが、どんな目的で言ってるのかによると思うんですよ。
社長が売り上げ立てろ、利益出せって言ってるけど、俺らの計算だったら、売り上げ・利益もそこそこ残ってるはずじゃないの。 社長が何か無駄なことに使ってんじゃないの。とか、そういう風に思ってるというようなスタンスの人に見せてくださいって言われたら、見せない。
鈴木健一
─はい、そうですね。
松尾淳一
社員さんからとしても、会社の目標を立てたり計画を立てたりする時に、BSとかPLていうところじゃなくて、実際の生のお金の動きに合わせて事業計画を立てたりだとか、営業計画を立てたりする思うんですよね。
ざっと計算したところ、支払うお金の方が大きいものが最初に出ていくので、この辺りでちゃんと計画を立てていないと社長も心配だと思ってるんです、っていう話をされて通知を見せてという話だったら、社長も考えられる方は多いかと思うんですよ。どういう意味合いでそれを見せてって言ってるのか。
それは従業員の方でも思う方いらっしゃると思うんですよ。もっとオープンにしてほしいって。オープンにしてっていう意味がどっちなんだという、監査的な意味で言ってるのか、社業を一緒に伸ばしてあげようという、キャッシュフローベースの改善をしていこうという提案をしようとしてるのか。
鈴木健一
─そういったお話って、 税理士さんとか、銀行さんとか、そういった方々と、話し合ってる印象を持ってるんですけれど。社長からしたら、社員にそういう人、話せるような人を置いておいた方がいいんでしょうか。
松尾淳一
置いといた方がいいと思いますよ。銀行さんにしたって、企業の方にしても、クライアントさん何社持ってる中の1社でしかないわけだから、結局、それを 適切なタイミングで適切なアドバイスをするってことじゃなく、要は頑張ってくださいねっていうことしか言わないわけで…。銀行さんの担当者さんが全員そうとは言わないけれども。
鈴木健一
─自分1人で向き合わないようにするために、お金回りとか、支払いサイトのこととかを勉強する機会みたいなのを、社員さん向けに動いていくのはいいなと聞いてて思います。一方で、 孤独など気持ちとどう向き合うかみたいなところに行くとどうでしょう。
松尾淳一
例えば、シンプルに言うとお小遣いをあげてほしい子供がいる、でも難しい事情があったとするならば、何をするかって言ったら家計物を見せれた方が1番早いですよ。いくら家が使ってて、いくら入ってきてる、って見せた方が子供たちとしても納得するわけじゃないですか。旦那さんもそう。旦那さんが俺のお小遣いあげてくれって時は家計を見せた方が早いですよ。奥さん。
俺、頑張ってるからもっとあげてほしいっていうのも、それで終わるじゃないですか。あげてほしいんだったら稼ぐしかないよって話。あなたはお金を家にいくら入れてるんですか。って話です。お金を管理する人と、 お金を稼ぐために労働してる人の、ここのミスマッチなんです。そのためには共通の指標を持つべき。
それが家だと家計簿だろうし、会社だったら、目標というか、 キャッシュフローベースの目標をちゃんと立てていく。お金の流れっていうのを感じていかなきゃいけない。 投資をしないといけないので。例えば駅から遠いところに事務所があって、駅近になると人が集まってきたりとか、販売をされてるんだったらお客さんが集まってくる。っていう仮説の元でやってたんだけども、駅近になると当然家賃が高くなる。固定費がかさむ。そうすると、初めは当然持ち出しのお金が増えますよね。でも社長としては、それだけ使ってるってことはリターンがあるからやってるわけで。だから、そこを社員さんもわかってなきゃいけないんですね。いくら使ってて、いくらの回収をしようとしてるんだという。
社長も考えないといけないし、考えてない人もいらっしゃって。駅チカになれば従業員のモチベーション上がるとか、いい人集まるんじゃないかとか、お客さん来るんじゃないか。だからやるか。
でもやっぱりダメで。そこに対していくら使ったらどれくらいの人が集まってきて、従業員もこれくらい採用が期待できるだろう。 っていう事まで考えていかないと。だから経営者も行き当たりばったり感のある人は結構多いんですよね。
鈴木健一
─なるほど。行き当たりばったりの社長はちょっと怖いですね。
松尾淳一
でも多いと思いますよ。簡単に言ってますけど、キャッシュフローベースでの計画を立てるってことは、経営者でやらないといけないし、やってない方多いんですよ。
やってないからイライラするんです。思った以上に今月支払いが多い、なんでだ!って話なんですよ。ちゃんと抑えとけばいい話ですよね。いつ支払いかどうか。PSとかPLじゃなくてCF、キャッシュフローベースで考えてみて、それを社員さんともある程度家計簿として共有できるようなことがまず1つだと思います。
鈴木健一
─そうですね。
松尾淳一
先ほど鈴木さんが言おうとしたように、とはいえ経営者は孤独じゃないですか。なぜ孤独かっというと、社員に分かる人がいない。会社の中に1人でも理解者を作っていくっていうことが大事で、それは経営者としてのメンタルコントロール としてもやっていかなきゃいけないことだと思いますね。
鈴木健一
─えぇ。
松尾淳一
本当は良き理解者って誰かっていうと自分だから、経営者って悪い方に行くと、”自分を褒める”という1番やらなきゃいけないことをやらない人が多い。 自分を責めることはするんだけど。自己肯定感を常に高く持っていくっていうことが、経営者としても結構大事なスキルだと思ってるんです。誰も褒めてくれないじゃないですか。孤独じゃないですか。
鈴木健一
─はい。きっとそうだと。
松尾淳一
孤独って言ってる人に限って、自分で自分を褒めてないです。
鈴木健一
─あら。
松尾淳一
だからですよね。だから経営者の人たちは飲みに行くんですよ。夜の街へ。褒められたくて。そういうことあると思うんですよね。
鈴木健一
─うまく回ってますね、そういうことですね。
松尾淳一
それはさておき、自分で自分を褒めるっていうこと、あとは経営者同士でこう話せる仲間を作る。これも大事なことで、御社はどういう風にこういうの考えてますか?とか、キャッシュフローの問題ってどういう風に捉えてるんですか、とか。そういうことを話せるような仲間を探していく、作っていくことが大事なことですよね。
それともう1つ。別にこれは我々の宣伝をしてるわけじゃないけど、コンサルってそういうようなことなんです。相談相手なんですよね。事業を伸ばしていくってこともそうなんだけれども、自分はこう思ってるけど、そこに対してミスがないかとか、客観的に見てどう思うか。
鈴木健一
─はい。
松尾淳一
鈴木さんもそうでしょうけど、我々もいろんな社長様のお相手をさせていただいてるので、その中であなたの活動が他社より優れてるのか、もしくはもう少し馬力もつけてやっていった方がいいのか、みたいなことは客観的にアドバイス できますよね。
鈴木健一
─そうですね。中にいると言いづらいことをコンサルの方たちは ズバッ、正しいことはと言いますか、言うべきことは言うっていうのがお仕事ですよね。こういった社長のお悩み、なかなか質問いただくことって少ないんですが、今日のお話聞いてて、なんかもう少し色々社長の方からの質問とか僕自身興味があるところもあるので、どしどしいただければ。
松尾淳一
どしどし。
鈴木健一
─古いんでしたっけ。どしどし。
松尾淳一
古くないですけど、あんまり使わない。
鈴木健一
─ほんとですか。
松尾淳一
いいんじゃないですか。どしどし。
鈴木健一
─どしどしご応募いただけたらなと思います。本日もちょっとお時間いいところになりましたので。この辺にて。松尾先生、ありがとうございました。
今回の主なポイント
- 経営者の中にはお金の動きに関する計画が不足していることがストレスの原因である。
- 経営者は孤独であり、自分で自分を褒めることや理解者を作ることが重要。
- お金の動きを透明にし、社員と共有することで、経営者と社員の理解が進み、納得感が生まれる。
- 経営者同士の情報交換や相談、またコンサルタントの利用が重要である。
- 対話を通じて、経営者同士がお互いに質問し合い、学び合う環境を作ることが必要である。
Podcastで実際にお聞きになれます。